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日清食品が開発した「音彦」の素晴らしさについて

「音彦」で世界が近くなるはずだ。

「音彦」の性能

あのカップヌードル日清食品が開発したのはフォーク。それはある問題を解決する物。問題とは「ヌードル・ハラスメント」。日本では大半の人が麺を「ズズッ!」と音を出しながらすすり食べる。それが当たり前となっている。でも、一歩海を渡ればその音を不快に思う人が沢山いる。その不快感を解消してくれるのが「音彦」。

日清の麺すすり音カモフラージュ機能搭載フォーク「音彦」 - YouTube

原理は一言でいうと「トイレの音姫」。麺をすすった時の「ズズッ!」をフォークの持ち手部分に搭載されたセンサーがキャッチ、「『ズズッ!』来たよ!」とスマホに信号を送る。スマホからは不快感を解消する音が出るという仕組み。

動画でこの説明を初めて見た時、「そんなん間に合うわけないじゃん!」と笑ってしまった。音を検知してから信号を送ってスマホから音を出すんだから。それが実演を見て微かな衝撃を受けた。確かに予想通り間に合っていなかった。でも、それが良かった。

音はそのままに

音を文字にするなら、「ずsずsぅsぅsぅsーsしゅぅsぅーぅぅごぉぉぉぉぁぅ……!」だ。初めは麺をすする音、最後にかけて水の混じった疾風が草原を通り抜けるような音がする。気持ちいい音だ。驚いたのは、語尾が輝くことによってそれまでの不快音が「輝きまでのただの音」になることだ。すごい、これはすごい。心地よい音の一部として、その音の印象が変わって聞こえる。

初めはおそらく、トイレの音姫と同じように音を被せてかき消す方向で企画開始したはずだ。それが技術的な壁に当たり、代案としてこうなったのだろう。音を「消す」のではなく「活かす」。これによって人に及ぼす影響は全く変わってくる。

仮に音姫と同じく音を被せて消す場合、「ズズッ!」はあくまでも不快音のまま。音は消えても不快感は消えない。語尾を爽快で心地よい音にした場合は、「ズズッ!」がそのままの形で耳に届くものの、麺をすするたびに一纏まりでの爽快音を聞くことで、最後には「ズズッ!」だけでも聞けるようになるのではないだろうか。パブロフの犬的に麺をすする音で脳内に展開されるのは草揺らぐ野原。不快感は見えなくなる。これはつまり文化の壁が取り払われること。ようこそ日本へ。

今朝トイレで音姫を使いながら「音彦」の実演動画を見て感動したのでこの記事を書いた。

「PRODUCT X」第一弾「音彦 (おとひこ)」(10月23日予約受付開始) | 日清食品グループ