雑記に次ぐ雑記

体験と生活と芸術の考察ブログ

美輪明宏の音楽会がオススメされていたので行ってきた

きっかけ

音楽をやっている知人の多くが口をそろえて「美輪明宏のコンサートには一度行ったほうが良い」と言っていたので――

引用:美輪明宏のライブ見た - 職質アンチパターン

行くことにした。

幕開け

「マナーモードではなく、必ず電源をお切りいただきますよう──」

「咳をされる際はガーゼやハンカチなどで──」

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いつもとは違うアナウンスに違和感を覚えた。会場もザワついている。そして、情緒的な音楽と共に幕が上がり、あの人が眼前に現れた。

どうも、仲間由紀恵です

予想外に多かった笑い要素

「最近はきな臭い世の中になってしまったわねー」という話から、「とうとう私も大台の……、30になってしまいました」で再び笑いを誘う。

「50くらいサバ読んでも良いじゃないですか。黒柳さんなんて500くらいサバ読んでますよ」。畳みかけてくる。

笑い話から翻って、こんどは固めの話題。太平洋戦争時代の話で、日米の戦力差を述べて、「敵うはず無いじゃないですか」と。

そして、現代のこと──VRで人を殺すと、ゲームと現実とのの区別がという話──を。

その流れで、現在話題になっている法案に対して個人的な意見を言っていた。「政治集会に参加してるのかな?」と軽く思った。上のブログでも言っていたように、なんだか「説法」っぽい。

あれ? 俺はどこにいるんだ?

コンサート中は基本的に真っ暗で、自分の手元が微かに見える程度だ。そんな中ステージだけが照らされているので、じっと見ていると没入していく感じがするすると、時代の感覚が一瞬飛ぶことがあった

「今日はそんな(きな臭い)事は忘れて、戦争前の世界をお届けしたいと思います」というようなことを言っていたので、その通りだ。使われているセットは綺麗で、ボロくはない。しかし、「古い、昔っぽい」と思わせる作りになっている。そういうのも心に影響を与えている。

正直、歌は微妙。でも、MCは凄い

美輪さんの歌は、自分にハマらなかった。響かなかった。でも、MCが上手かった

※歌詞があまり聞き取れなかったので、字幕が欲しかった

歌われる曲のほとんどは自身が作曲した物。なので、本人の口から作曲したときの背景が語られるわけだ。それが随分前の曲なので、非日常感のある話は新鮮だ。それによって、ただ歌うよりその曲の価値や面白みが上がる。あと、「ニマッ」っとしてしまうような面白い話も魅力的だった。少し毒があるけど、トゲを感じさせない。

生演奏の必要性

海外公演で好評の、様々な楽器のスペシャリストたちを引き連れての公演。ただ、観客の目に触れるのは美輪さん1人だ。演奏者紹介の時以外は、彼らは幕の内側にいる。で、その生演奏がCDのような再現度。上手い。

「これって、意味あるのか?」

素人目には一旦そう映った。うん、意味はある。曲中の歌詞と歌詞の間の取り方、これが結構アドリブ要素強い。これに対応するにはリハーサルを含めた生演奏が必要だろう。あと、美輪さんが一人でやるってのは、何か物足りない気がする。「音源はCDです!」はなんかちょっとね。だから、例え見えていなくても生演奏はあった方が良いね。

最早、歌はいらない

ほとんどが愛の歌で、その歌が作られた背景が良い。例えば、目撃した男女の不倫。例えば、知り合いの男女の別れ。当然、要約してしまえばなんてことのない感じになってしまうが、実際はその時代の色と相まって良い感じだ。

昔の美輪さん「追っちゃだめよ。男に追わせなさい。そうすれば、『凄い女を逃がしてしまったんじゃないか』って思うから」

男運の悪い友人女性「私出来ない!」

昔の美輪さん「はねつけるのよ! 男が来たら、この歌を歌ってやりなさい」

「そうして作ったのがこの曲です」

鳥肌が立った。歌が始まるまで、イントロ部分が自分の中のピークだった。もう、その事実だけでよかった。「そんなこんなでこういう歌を作りました(ドーン!)」という事実だけで。

自分の作品を他人に楽しんでもらうには

「自分の世界に引き込むこと」

これが大事だと思った。説法や昔話、笑い話、色々な様相を呈した「曲紹介」。この曲紹介を通して、観客の周りに当時の世界を積み上げていく。自分が目にした世界に引き込んでいく。それが終わったところで歌に入る。効果的。自分の作品は自分が一番楽しめる。だから、自分と同じ感じにすれば楽しんでもらえる。なるほど。

金の照明や金の紙吹雪、立ち上がった1階席全員の異様な雰囲気。最後に幕が閉じるとき、美輪さんはそれらに包まれて神々しい雰囲気を出していた。「神になりたいのかな?」と思った。

(2016年7月2日)