まず初めに言いましょう。
全っ……然楽しくなかった!
何から何まで自分の所為だけどね。「人通りのある場所で、何もついていない筆をキャンバスに走らせる」ということをした。7時間。
思い立つ
大学構内で見かけた高校生がきっかけだったと思う。彼女らはおそらく美術の授業の最中で、黙々と木などを描いていた。そういうのを正面から目にすると、どんな絵を描いているのかが非常に気になる。そこでふと思った。 「何も描かれていないのを目にしたときの反応を見てみたい」
だからって7時間もやるもんじゃない
「やる!」ということは決まった。次は、それをどれくらいやるのか。 時間を決めるにあたって、「何時間」という風に限界を決めるようなことはしたくなかった。だから、自然の流れに従うことにした。限度はあるが。しまいこまれたビデオカメラを取り出し、起動する。すると、撮影可能時間「7h12m」を表示した。
「よし。いこう」
楽しくはなかったけど、新しい発見が
何度も言う。楽しくなかった。そう、「始める前が楽しさのピークであり、最後」って事あるよね。 初めてのライブが初見バンドの解散ライブだったあの日もそうだった。 過去の奴隷だよ。正しくは、「過去の自分のIdeaの」奴隷。
メモに書いてあるたった一行を消すために、過去の自分の奴隷になった。
凍てつく強風の中、朝っぱらから畑にコーンフレーク植えた。全然楽しくなかった。
(2015年12月4日 09:20)
①時の流れ方が違った
初めの4時間は、あっという間だったように思う。「曲のリズムに合わせて描く」、「曲のイメージを表す」、「適当に描きだしたものから連想してつなげていく」など色々やっていた。 飽きなかったからなのかな。本当にあっという間だった。
残りの3時間が遅かった。あれは、3時間じゃなかった。「1:世界」で世界の方が正しいけど、体感的に。1時間ごとに、ドン! ドン!! とゆっくりになっていった。音楽にノることに飽き、筆の運び方のバリエーションが尽きかけていたからなのだろうか。
②意外とやることはある
「楽しくない」、「飽きた」とは言っても、致命的なものではなかった。それなりに工夫はしていた。
1.音楽のリズムに合わせて筆を走らせる
2.曲のイメージを筆の運びに変換する
3.常に新しい筆の運び方を生み出す
「3」が特にいい仕事をしていた。7時間もったよ。
③白紙に浮かぶ絵
これが一番不思議だった。鳥肌が立ちそうになったほどだ(立ってはいない)。それは、4時間を超えたころのこと。そう、時間がゆっくりになってきているときだ。
「スッスッ」と描いた後、それとそっくりの像が白紙に浮かんだ。「口に見えるな」と思った瞬間、口の細部が描かれた。「目にも見えるな」と思った瞬間、目の細部が描かれた。
自分の中では、「影の残像」だと思っている。日に照らされて、筆の先に出来た影の残像。「残像だ」。少し話がそれる。最近、何でもないものが人の顔に見える現象がよく起きてる。
引っ越して9か月。ここにきて、壁で永遠に遊べる可能性浮上。 pic.twitter.com/ceJRzZsmaG — 山岸Daiki (@swrd07x) 2015, 11月 17
↑とか、3日前(2015年12月4日)は、
画像: Googleマップ ストリートビュ―
静岡中央銀行のロゴが、悲しげな人の顔に見えた。
④コミュニケーションとしてのアート
今まで自分のやってきたこと(趣味)は、一方通行だった。見ている人がいなければ、一方通行ですらなかった。それが今回、少し交流が生まれた。
①おばちゃん
「何されてるんですか?」、「精神世界っていうの?」、「初めて見たわ、こんなの」
「初めて見た」という言葉が、少し嬉しかった。
②学校職員
「あれ、撮影してるの? 盗まれちゃうよ」、「君はいつも勝手にやるんだから」、「まあいいけど、ちゃんと許可とらないとだめだよ?」
注意されてんじゃねえか。
(2015年12月6日)