感化と変化の記録

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3.俺14

体験と生活と芸術の考察ブログ

11月の雪国に野宿をしに行った話

体験・旅行

新潟県の真ん中ら辺にある十日町市。 そこにある温泉の取材とお仕事体験のため、静岡から前乗りをするために移動していた。 

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時間はかかっても、こんなきれいな夜景を見ながら移動できるんだからリニアなんていらない。
(2014年11月11日 19:32)

こんなことを思いながら、新幹線に乗っていた。 越後湯沢からは鈍行に乗り、十日町へ。

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ぴかぴかの天井に映る、規則正しく並ぶ吊革を眺めていた。 初めから野宿はするつもりだった。

11月ということもあり、「それほど寒くないだろー」と予想していた。なので、以下の恰好だった。

上:肌着 + 長袖Tシャツ + フリース + 裏起毛ナイロン

下:肌着 + タイツ + ジーンズ

ちょっと今回は、日記の文章をそのまま載せてみたいと思う。その方が臨場感とリアリティが出るかなーと思って。


19:50

夜の新幹線が好きになった。下ネタとかではなく。

夜景がきれいだ。

平日夜の混み具合はこんなものなんだろうか。かなり空いている。


21:35

十日町なう。おい、白い息出るで。これほどとは思ってなかった。

この時間で駅前の店がほとんど閉まっている。居酒屋はやっているが......。

糸魚川の商店街以上の外観を誇るが、クラブ以外やってない。この時間(21:46)だぞ!? 人一人いないし。対照的に車通りは多い。

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駅に対して直角に進み、突き当りをどんどん右に行く。

893がやっていそうな寿司屋まで行ったところで終わりにした。「駅前」という感じじゃなくなったからだ。山道に入りそうな感じだった。

明りのありがたみ。

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22:07

ぐるっと駅に向かって歩いていたら、ラーメン屋を発見深夜2時まで開いてるみたいだ。ラッキー! 持ったスマホが冷たい。

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お冷やとストーブのこの感じ好きだなぁ。

食べるものがあるのはありがたい! 美味しくないけど、それでいいんだよ。あたたかいから。

外に出るとまた寒さが。でも、ラーメン食ったから死ぬことはないだろう。暖かいところから寒いところへ出たときの気持ちよさ。

またラーメン屋発見。はしごしようとは思ったけど、ラーメン以外を食わしてくれないか?

初めは批判してたけど、探せば何軒か飲食店あるんだね。ほぼラーメン屋だけど。商店街を歩く。

今度は左に折れる。

一本入った所に明りがある。近づいたらクラブだった。2人くらい立ってて怖かった。クラブ、居酒屋をちらほら見かけるけど、需要あるのか? 人が全然いないのに。

駅から歩ける範囲内に、税務署やらクロステンやら公共施設がたくさん。つまり、野宿できそうなスポットがたくさんだということ。

クロステンは、どうやら長距離トラックの休憩場所にはうってつけのようだ。

寒空と月の下、音のしない道を歩く。「駅前」という感じではなく、商店街は終わっていた。

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でも、明りがあったし、興味が引かれたので歩く。寒空には月がくっきり。空気が澄んでいる。目の前は緩やかな長い下り坂になっていて、大きな通りに出るまでは一本道。「寒い寒い」とつぶやきながら、ポケットに手を突っ込み歩く。

そして、坂の中腹で足を止めた。

「あ……」

声が出た。何かを確認するために、反射的に声が出た。

……静かだ。本当に静かだ。機械の音の、虫の声も、風の音も聞こえない。本当の静寂。自分の声も響かずに、口から出た瞬間に消える。

圧倒された。静かさに。それは初めてのことだった。

確かに実家の周りは人気もないし、自然ばかりだ。でも、これほどの静けさを味わったのは初めてだった。「これ以上の静けさはあるのだろうか」と思った。

遠くにはキラキラした光が見える。時折、遠くの大きな道を車が通る。その時だけかすかに「コォォ……」と音がする。

凍えるような寒さがなければ、いつまでもそこにいたかった。


あれから7カ月経った今、あの静けさを思い返す。それを再体験することはできない。でも、あの静けさは言葉では表せない抽象的な形となって、心を惹きつける。

もう一度あそこで寒さに震えてもいい。

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丸を付けた辺りにあるので、行ってみてください。晩秋の十日町へどうぞ。


前方の光に向かっていくと、道の交わりに出た。

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コンビニやドラッグストア、閉店した後のパチンコ店の駐車場。 誰一人通らない、車もめったに通らない。静かな通りを歩く。

自然がある程度多くなってきたら引き返す。

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23:27

さっき「いいなー」って思った道(下の記事参照)の、両側にあった壁。その上は公園だった(上の地図だと、引き返し終わったところ辺り)。今はそこでベーコンとちくわとチーズをかっくらう。

23:44

この放浪は今日一日だけだし、お金があるという安心感がある。しかし、何だか怖いし、「寒い嫌だ」という状態に、もうなっている。

これから石のベンチに寝転がって、綺麗な星空を見ながら、寒さに耐え、家が無い人の気持ちを分かろうとしよう。

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UNIQLOさんのおかげで胴体は暖かいのだが、足が寒い。出発の時から感じていたが、この靴風通し良すぎ! メッシュ!

手袋は、外すとすぐ手が冷たくなる。ゆっくり味わって食べれないよ。

星を眺めてると不思議な感覚になってくる。遠くにあるようで、近くにあるようでもある。また、その星自体もよく見ると何なのだろうかと思えてくる。

鳥の声はどこから聞こえる? 体を丸めると、寒さがまだましな気がする。そして、手足が温まる気配を見せないことから、心臓を守るのに必死と見た。


0:11

情報館で良いスポットを見つけた。コンクリートに囲まれているため、それほど寒くない。それと、下が草土なので熱がそれほど逃げないのかな。

あったかいローソンがあるけど、それはイージーモードだろ。

寝てたら、股のあたりまで冷えてきた。笑えなくなり、独り言がなくなった。死を若干意識している。

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表(スクリーンショット):気象庁. 過去の気象データ検索


1:19

外だとどんなに努力しても寒い。家にいるときは全く意識しないことだけど、「寒さをしのげる」ってだけでこんなにもありがたいことなんだな。

こういう生活を毎日している人の苦労って、計り知れない。普段の自分の暮らしに深く感謝。

駅に戻ってくる。トイレの便座に感謝。まさかの温かいタイプ。しばらく体温を回復させてもらった。あと、スマホの充電と歯磨き。

1:52

二重だった靴下を一重にしたら、幾分か足元が温かくなった。 どうやら、締め付けが血の巡りを悪くしていたらしい。それはそうだ。血がめぐらないことには温度は上がらない。


2:52

気温が下がっているのか、歩いている時に胴体までもが寒い。街灯に照らされた白い霧が見える。霧が出るということは......。どういうことなんだ?

再び情報館。歩いては横になり、冷えたらまた歩き横になる。ずっと寝てたら多分死ぬ。


5:11

何度「死」が頭をかすめただろう。本当に生きていてよかった。再びあのトイレに戻ってきて、便座で温まっている。

コンビニで暖を取るということはしなかったにしろ、完全な野宿にはならなかったわけだ。

ホームレスの人はすごいなあと思うのと同時に、今まで「気休めだろう」と偏見を持っていた段ボールの重要性に気付いた。

5:37

駅が開いた。

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天国だよ。予想外の温かさで感激。


6:07

急に空が白んできた。まあどうでもいいが。1時間ほどの休憩であらかた眠気がなくなった感がある。

7:17

そんなことはなかった。眠い。 オール後特有の致命的な寝だるさみたいなのはなく、純粋な眠気があるだけ。横になりたい。私は、横になりたい。

もう野宿なんてしない。今度こういう日程であるとしたら、「レイトショー→ネカフェ」で行きます。

最後に

「もう野宿はしない」とは言ったけど、反省を活かして、もう一回はやってもいいかなと思っています。そして、この話はフィクションということにしておきます。

(2015年7月8日)