感化と変化の記録

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3.俺14

体験と生活と芸術の考察ブログ

冬の夜にマラソンを思い立ち、死にかけた話

思い立つ

2013年12月25日。その日の昼は公園でおでんを食べた。そして、夜七時に男6人くらい(おでんメンバー)で夕食を食べていて、ふと思い立った。

「マラソンしよう」

「バカだった」と今は思う。マラソン、つまり42.195km。今までこの距離を自分の足で経験したことはない。 だからだやろうと思ったのだと思う。

無知は怖い。 なぜいけると踏んだかというと、いつものランニングコースが約6km。「あの往復を7回すればいいのか。案外楽そうだな」と算段を立てたからだ。

コンディションを調整するわけでもない、昼は普通に遊んでた。 がっつり夕食を済ませた、そんな冬の夜に出発した。

ちょっとフルマラソンしてくる。
(2013年12月25日 19:00)

周りの反応

今いる場所から往復して丁度40km。その偶然さが気持ちを前に進めていたのもあるf。

「今から修善寺まで往復してこようかと思います」 そうみんなの前で何気なく言ったとき、その何気なさは当然、 「何言ってんの?」、「本当に!?」という反応を生んだ。 

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笑い飛ばせるような内容でもなく、「こいつマジかよ」という視線と共に苦笑いが向けられる。 気持ちよかった。こちらはあくまでも快活。

序盤はよかった

皆と別れた直後、これから自分が達成することや有り余る体力により、気分が高揚していた。

一旦家に戻り、準備を整えて出発。 服装は、長袖シャツに裏起毛ヤッケ。タイツに半ズボン。


初体験のため、もちろん「ペース配分」という概念は存在しない。

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5km(ブケ三島)付近でランナーズハイを経験した。

市が変わる度に、「ぅーい!」と看板の写真を撮った。楽しかった。ルンルンだった。

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しかし、10km付近(韮山)で早くも「俺は何をしているんだろう」という気持ちになってきた。

12km(伊豆の国市)付近から足に違和感を覚えていた。 まだ走り続けることはできた。

往路のゴール付近は、でこぼこの歩道 + 街灯なしというコンボ。車のヘッドライトを頼りに進む。

足を引っ掛けないかが心配だったが、「広い道、かつ真っ暗な中一人で走っている」 それらのことが心配事を覆い隠して、気分をさらに高揚させた。 

死の薄影

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折り返し地点までの20kmを走り終え、時間は22時。 現金を500円しか持ってきていなかったので、大したものは買えない。 取りあえず栄養ドリンク×2を買って飲んだ。

この時点で、「電車で帰る」という選択肢は消える。 駅はまだ開いていた。ベンチに置かれたふかふかのクッションの上に座る。

「家庭教師でここに来てる時は、まさかこんな形で来ることになるとは思わなかったな」と考えた。

座って休んでいると寒くなってきたので、「よし行くか!」と腰を上げる。その時。

!? 「足がおかしいぞ?」

よくある、休んだら痛みが来るあれです。

地獄の折り返し

はい、ここから。この折り返しが地獄でした。大げさじゃなく、地獄。「往路でペースを考えずに飛ばしたこと」、「クリスマスにやろうとおもったこと」を呪うことになる。

折り返し序盤、すでに歩きが混じる。それでも、「今、あのバーミヤンにいます!」と、写真を撮って送りつける元気はあった。

残金100円。100円で500mlが飲める自販機を探した。


やっと見つけ、飲み終わったころからは、もう走れなくなっていた。 そこから歩行地獄が始まる。

走りや、歩く行程など、楽しめたものじゃない。黙々と歩く。歩く。 走っている時よりも明らかに寒い。

駅付近に着いても、コンビニの近くを通っても、残金0円ではどうしようもない。 ひたすら歩く。


35km(ブケ三島)付近。何の因果か、初めランナーズハイを感じたあたりで手のしびれを感じる。それを意識し、だんだんと具合が悪くなってしまった。

「手のしびれ→死」のフローチャートが、頭の中で瞬時に作成された。「あっ、体って心臓を守るために四肢から体温を奪っていくんだ...」と、分かりたくないことまで分かってしまった。

その頃になると、往路序盤、チェックポイントの度に写真を撮っていたころが懐かしく感じられた。 当然そんな余裕はない。やりたいとも思わない。

「ああ、そういえばマラソンを何時間で走れるか気にしていたな」ということも思い出した。「今は帰れるかどうか、というか死なないかが問題だよ!」と心の中で思いながら必死に歩く。

疲労、寒さ、孤独、主体感、恐怖のすべてが攻撃をしてきた。 歩くことすらできなくて、座って休むこともあった。しかし、寒いので長くはいられない。

立ち上がると幾分かはいいが、休む前よりきつくなった気もする。鼻水もひどかった。ティッシュが切れていたので、手でふいていた。

地獄は続く

残り3km(イトーヨーカドー)位。そこまで来ると、もう無我の境地だった。「寒いよー、足痛いよー」なんてものは、当然感じる。

しかし、感じたところで家につくまでどうしようもない。がんじがらめだった。その頃には、手のしびれが手首にまで及んでくる。恐怖の色が強くなる。

残り1km(吐夢書店)。 あと少しなのは分かってるのに、帰れないような気がして泣きそうだった。 心ではとっくに泣いていた。海ができていたよ。


家につくと、すぐにシャワーに直行。体を温めた。 2Lの野菜ジュースとご飯を浴室に持ち込み、体を温めながら飲み食いした。

不思議だったのは、温めてどんどんいい方向に向かっているはずなのに、むしろ気分が悪くなっていくこと。その感覚の中にいるときは、さらに死の恐怖が襲ってきた。

生の有難さを実感するでもなく、ただ恐怖に浸っていた。

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翌朝

起きてみると、全身が痛む。病気以外で「起き上がれない」ということを初めて経験した。

その日、朝から予定されていたBBQは見送った。肉……。食べたかった。