感化と変化の記録

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3.俺14

体験と生活と芸術の考察ブログ

日本旅館の仲居さんがベトナム人だった

体験・旅行

熱海のある旅館にて

「ココは、7時カラ8時はCloseだから」

! 精神的に2度見した。目の前にいる女性は日本人ではない。それは風呂場の説明を聞いているときに分かった。そんな旅館あるのか。ここにある。

この仲居さんは愛嬌がある。そして、話(雑談)が上手い。「話が上手い」といっても日本語が上手いわけではなく、カタコトだ。そのため、何度か聞き返すことがあった。

そして、「ココは熱くなってるかカラー」と敬語じゃない時があった。でも、そんなのはどーーーーーでもよかった。むしろそれがよかった。その様子は可愛いし、母語でないということは気を遣わない。それは、外国人全般にいえること。

日本語が母語である話者同士の「愛してるぜ」は重みがある。言葉の意味が深く分かってしまうから。その点、日本語が第二言語である人には「愛してるぜ」を軽く言える。それに似た理由で、雑談がしやすかった。

仲居さんが日本人だったら絶対に起きない会話なんかもありました。

「えー、聞いてキました。コチラハ『モミジオロシ』というソウデス」

「へー。もみじおろし……」

「シッテる? モミジオロシ」

「いや、知らないです(笑)」

「そうですか。ワタシもしらないヨ(笑)。こちらハ、ねぎダヨ」

「知ってますよ(笑)」


チェックアウトの時、ベトナムさんと一緒にいた先輩仲居的おばちゃんから「お粗末様でした」と言われた。

たしかにお粗末様だった。だが、それがいい! 形式ばってない方が、こっちは自然体でいられる。楽。

そこで思ったのは、「究極に気を遣わない旅館案」。そんなのがあったらいいな、と。

「おっ、来たねー。名前は? オッケー。じゃ、今から部屋行くよ。ってか、これ鍵だからそこのエレベーターで行って探して。20時に布団敷きに行くから、それまでに夕飯終わらせとけよ!」

どうです? ……腹立つでしょう。日本人なら。だから、全員外国人にすればいいと思う。外国で上のような対応されても、「まあ、そんなもんんか」となるから、それを日本で再現した感じ。

彼女は大学で服飾の勉強をしていたそうだ。デザイナーが作った図面を再現するやつ。もし仕事が続かなかった帰るけど、日本にはずっと居たいそうだ。

「それ(服についてる赤い花)は皆付けてるんですか?」と聞き、「私だけ付けてます」と答えたときの笑顔は良かった。

語学上達へのモチベーションはこれだ!

配膳の度に、何回か会話をして慣れてきた。そこで現地語であいさつがしたくなった。スマホで調べる。

(ふむふむ、「ありがとう」は「カム オン」か。これにしようか。いや、それとも「元気ですか?(コエ コン)」にしようか。「コエ コン」にしよう)

参考:ベトナムナビ. カタカナで覚えるベトナム語~基本編~挨拶、自己紹介をしてみよう

コエコンにした私は、ベトナムさんが来るのを待つ。ベトナムさんが来る。話す。料理が置かれる。話す。出ていく。戻ってくる。お茶はいるか聞いてくる。いらないと答える。出ていく。

言えない。コエコンの4文字がいえない。そんなことを何度か繰り返し、次の日になった。

寝起き、それから朝食の時も部屋へやってきたが、日本語で会話しただけだ。もう決めていた。「文章にしよう」と。

彼女は会話の中で、「ワタシ、明日のゴゴからヤスミ。ふふっ(かわいい)」と言っていた。だから、部屋を出るときに残すメモ書きに「あさっての午後は晴れるといいですね。さようなら」と書くことにした。

朝食が終わってから、再びスマホで調べる。文法など気にせずに、めちゃくちゃな文が出来上がった。

「私は6日午後晴れが欲しい。さようなら」

こんな感じだったと思う。「あさって」が分からず、日付にした。それを机の上に置いて旅館を後にした。

ここでのモチベーションは凄い。調べている間、何の苦もなかった。楽しかった。

学習が「目的」ではなく「手段」であった。その正しい道を進んでいるときに、「あぁ、こういうのだ」と思った。語学学習には、こういう状況が必要だ。

「もう旅館はいいかな」

旅館に行くと気疲れする。気を遣いに旅館に行くようなものだ。

例えば、料理配膳後に「失礼いたします」とお辞儀をして去っていく時。毎回お辞儀を返すのに気を遣う。かといって答えない(無視する)のは嫌だ。

配膳中も配膳中で、手持無沙汰。料理が終わってから「散歩にでも行こうか」と思い、布団敷きを待っている間の時間。これもくつろげない、というか不自由。

その点、素泊まりは最高! 「気を遣わなくてもいい」という付加価値から、むしろ通常価格より高くなってもいいよ。いや、嘘。まあ、それくらいの気持ちということで。